これから起業をする人のために、不動産の家賃の考え方について、ビーズ(beez)の感覚値をシェアしたいと思います。
少しでも事業計画書を作成するときのヒントにしてもらえれば嬉しいです。
まず、オフィスビルの賃料については、各種マーケッターの意見を参考値にするのが良いかと思われます。
・CBREオフィスマーケットビュー
賃料のばらつきは、出店するエリアや入居するビルのグレードによって平均価格は変わります。
その他の変数としては、駅からの距離、ビルの築年数などによって、価格は変動します。
具体的に高いエリアは、都心3区と呼ばれる、千代田区、中央区、港区です。
少し広めにエリアを切った都心5区には、上記3区に加え、新宿区と渋谷区が入ります。
一方で、オフィス市況はかなり変動するのも特徴的です。
リーマンショック前は、結構なバブル期でもあって、月坪の家賃が5万前後(一部の場所ではもっと高いのもあると思います。)にもなったりして、直近では某有名なオフィスビルでも2万円台で売られていたとも聞いたことがあります。
いずれにせよ、ネットや新聞ででている販売価格と実際の成約価格にはギャップがあり、成約価格は不動産屋とテナントとの極秘情報となるため、適性価格というのはあってないものかもしれません。
それくらい水モノなのがこの業界の特徴ともいえます。
やはりビルオーナーとしては、大きな賃貸床が空いているよりかは、若干割り引いてでも床を埋めてくれることを好みますし、あるテナントが入ることによって、ビルの格が上がるという副次的な効果なども評価して、賃料を決める点などからも、賃料が個別に変動する理由の1つとなります。
なので、逆をいえば、借りる側からすると、そういう点を交渉のカードに使うのが良いのかと思われます。
事業計画を立てるうえでは、オフィス賃料は月坪で捉えることが良く、12千円~20千円くらいのレンジで設定しておけば問題ないと思います。
20坪の事務所借りるなら、月額240~400千円という計算結果になります。
ときどき、不動産屋が家賃を低く見せて、管理費で回収する作戦にでていることもあるので、管理費込でいくらかに留意する必要があります。
よっぽど変わったことを狙わなければ、だいたいこのレンジでおさまるはずです。
また、家賃が苦しい時は、住宅を想定してみると良いかもしれません。
例えば、ワンルームマンションですと、面積23㎡(7坪)の月の家賃が70千円であれば、月坪10千円となります。
私が鎌倉に住んでいたときは、33㎡(10坪)で70千円だったので、月坪7千円です。
三軒茶屋の一戸建てを借りていたときは、82㎡(25坪)で163千円だったので、月坪6千円ちょっとです。
なので、ネット系での事業で間接費として事務所費用を算出するのであれば、月坪10千円計上していれば問題ないと思います。
続いて、サービス業を営むときの参考値を紹介します。
その時には、駅ビルなどの商業施設に入っている店舗がいくら賃料を払うかという点から推定します。
具体的には、床面積に対する売上や業態による賃率を用います。
なので、床面積に対する売上として、月坪売上という感覚値を持っていると概算の精度は一気に高まります。
飲食系であっても、惣菜などの食物販とパン屋では異なりますし、当然、蕎麦屋とカフェの値も全然違います。
ここでは、正確な数字よりも概算でトレーニングをしてみます。
例えば、物販だと月坪売上が500千円~1,000千円のレンジだとすると、ざっくりと賃率が売上ベースで7%だとした場合には月坪賃料が35~70千円となります。
また、飲食の場合は、月坪売上が200千円~400千円だして、賃率が12%だとした場合に、月坪賃料は24~48千円となります。
両業態ともオフィスよりも高い賃料を支払うことになりますが、なぜでしょうか。
その理由としては、商業ビルは販促などにお金をかけているので、オフィスビルよりも賃料を高くとる必要があるからです。
テナントにとっても、そういった館(商業ビルの別称でヤカタと呼ぶ人が多い。)の運営力に魅力を感じて、入居する時代にもなってきているので、高い賃料については合意を得られています。
というように、何が言いたかったかというと、住宅、事務所、物販・飲食によって、賃料は全然異なるということです。
仮にパン屋をすると言っても、駅ビルでするのか住宅の1階でするかでは家賃は大きく変わります。
駅から徒歩何分を想定するのかによっても変わります。
いずれにせよ、単に賃料のボリュームで考えるのではなく、坪当たりいくらの場所を想定しているのかと家賃を考えることが、精度の高いPLを作成することにつながります。
どうしても固定費としての家賃が重くのしかかることがありますので、コントロール可能な費用だと捉えて、事業計画を練ってもらえればと良いのかと思います。